老荘と仏教 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル老荘と仏教 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者森 三樹三郎
販売元講談社
JANコード9784061596139
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 中国思想といったときに儒教と並んで語られることの多い老荘思想及び道教と、一方で語られることの少ない中国仏教、そのそれぞれの内容とお互いの関わりについて論じた著作。単に思想内の脈絡を明らかにするだけでなく、その対立思想であった儒教との対照をはっきりと示し、また歴史的・社会的な変遷と共に論を進めているので理解しやすい。

 全体は三部に分かれ、第一部で老荘思想と道教について、第二部で中国仏教について、第三部は中国仏教について講演形式の論文を収録している。巻末に岩波文庫の老子の訳注をしている蜂屋邦夫さんの解説があり、この著書の内容をとてもうまく要約している。

 読んでいくと、老子と荘子の違いや、老荘思想が仏教の格義解釈や道教の権威付けに使われたさま、道教の成立の様子、仏教が中国で広まるまでの経緯、その後禅と浄土教が中国仏教で圧倒的になりやがて浄土禅が一般的になる様子やその理由など、前漢から五代に至るまでの中国の社会構造と併せた説明が続く。この「社会構造と併せた」というのが絶妙で、当該時代の社会構造が精神構造を規定し、精神構造が社会構造を規定する相互作用の軸が見えてくるのが面白い。

 日本の仏教は中国や朝鮮から取り入れたものなので、中国での仏教の変質は日本の受容した仏教の前提として考えられると思う。老荘の説も日本人好みの傾きがあるし、親鸞や一遍についての言及もあるし、ここから日本の仏教や日本思想について想像してみると面白いかもしれない。

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