孟子 (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル孟子 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者金谷 治
販売元岩波書店
JANコード9784004130451
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 岩波文庫の四書で唯一金谷治氏が訳注を担当していないのが「孟子」だったのが気になったが、氏によるこの新書があったので読んでみた。

 内容は、「孟子」という書物が歴史的に、あるいは読者によって評価を異にしてきたことの脈絡や、孟子が生きた時代の趨勢を明らかにしつつ、孟子自身が同時代の状況に影響を受けたり、それに反発しながら弁論を立てていた様子を、「孟子」の言葉と照らし合わせて著したものになっている。「孟子」自体を読んだだけでははっきりしない戦国時代の史実や社会状態に多く触れているので、「孟子」で説かれていた内容が特定の意図をもって用いられていたことに思いが及ぶ効果がある。ある面では野心的で、その説は理想主義的でもあり、結果として政治参謀としては敗北していった様子を、著者は擁護する方向で叙述している。

 「孟子」だけを読んで考えると、どこか権威主義的な言葉に反発を感じてしまう人も多いのではないかと思うので、この新書を読めばバランスが取れるのではと思う。自分の実感としては読みかけの「荀子」の方が馴染めるというのが本当のところだが、孟子にしても荀子にしても目指すところ、また実際の修養上の振る舞いに違いがないということは著者がここで述べている通りだと思う。

 若干行き過ぎた理想主義かもしれないし、自分が望んだ成功を手に入れられなかったのも確かだろうが、理想を目指して生きたこと自体は責められることではないし、否定されるべきことでもないし、とてもよく生きた人なのではないか、と素直に思えた。

 あと、終章の史料分析がとても興味深かった。著者の仕事の現場を少しだけ垣間見ることのできる内容で、歴史家としての著者の姿がよく見えてくる。

 岩波文庫の「孟子」とセットで読むと効果的だと思います。

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