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チルノの努力

ゲッター # - 14.04.16 01:52
 初投稿です。
 小説投稿機能を初めて使います。ミスしても怒らないでね。 
 
 この小説は、前に自分の掲示板で書いていた小説です。文法がおかしいかもしれません。
 
 さて、内容は、朝寝坊した慧音が、自分の代わりにチルノが頑張る的な話です。

レスポンス


ゲッター # - 14.04.16 01:55
「う~ん……、体がだるい……」
 慧音は布団で額に手を当てて寝ていた。
 顔はほんのりと赤く染まっている。
 体温計を隣の棚から力なくまさぐりながら取り出し、自分の脇に差して、しばらく経って体温計を見ると……。
「あちゃ……風邪引いたかな……」
 弱々しそうに言う慧音の持つ体温計は三十九度を指していた。
「まずったな……仕事できないよ……」
 慧音が目を閉じて唸っていると、誰かの声が聞こえた。

「あたいに任せてよ!」

「誰……?」
 慧音は目を薄く開けて声のする方向に向くと、声の主はいなくなっていた。だが、何故かクーラーが効いた部屋の様に部屋が涼しかった。
 慧音はふと思案する。
「ん……? 一人称があたい? しかも部屋が涼しい……、!? まさかチルノ!?」
 一つの不安を抱えたまま、慧音ははガバッと飛び起きた。
 今までの風邪がウソのように吹き飛んだ。こんな風邪、チルノによる不安を考えればなんとも無い。
 そして慧音は寺子屋に急いで走って向かった。
 走りながら慧音の頭の中は不安がぐるぐると渦巻いていた。
(チルノじゃ担任を出来っこない! チルノのせいで生徒の成績が下がったら、保護者の方々にになんて言えば……! あぁっ! もうッ! 余計なマネよ)
 慧音の前に木造建ての建物――寺子屋が見えてきた。慧音は校舎に転がり込んで、教室の外の窓からこっそりと中を覗き見た。傍からすれば、不審人物みたいに見える慧音が見たものは、想像を絶する光景だった。
 チルノは立派に先生をやっていた。きちんと授業を進めていたり、子ども達のテストプリントを赤ペンでチェックしたりと、まるで自分を見ている様な感覚だった。
「じゃあ次の授業始めるよ~」
 チルノは生徒達は引き連れて、教室を出て行った。
 見つからないように姿を隠していた慧音は、小走りで教室に入って、教壇に積んであったテストを見て絶句した。
「うそっ!? ちゃんと点数つけてるし……、しかも生徒に対するアドバイスもちゃんと書いてある……。どういうことなの……?」
 まるで自分が付けたとしか思えないテストプリントを机に戻して、慧音は唸った。
「確か次は体育だったっけ」
 黒板の上に掛けてあった時計を見て慧音は独り言のように呟いた。

 
 校庭に出ると、やはりチルノはちゃんと授業をしていた。どうやら体育はサッカーらしく、子供達とチルノはボールに戯れていた。
「なんでチルノが授業出来てんの……?」
 階段に座り込んで頬杖をついて遠い目でチルノと子供達を見た。その目はどこか恨めしかった。まるで自分の役目をどこぞの奴に奪われた気分だった。

「よぉ! 何そんな格好してんだ?」

 元気のいい声に気づいて振り向くと、隣に妹紅が立っていた。妹紅は口に咥えタバコで、片手を上げていた。
「え? 格好って……」
 慧音は気づく。自分は寝巻きだった事に。着ているのは藍色のネグリジェであり、ふくよかな胸が強調して色っぽかった。
 いままで寝巻姿だったことに驚いて、慧音は顔から火が出た。
「あたしったらなんて格好を!!」
「でもなんでチルノが授業してんだ? 担任はお前だろ?」
 取り乱している慧音を気にせずに隣に座り言った。
「いや……、なんか風邪で怠くて寝てて、んでチルノが家に来てあたいに任せてよって言って、勝手に授業してるんだけど。でもなんか変なんだ。どうもチルノらしくない」
 いつもの調子を取り戻した慧音は、不満そうに言った。
 何故、馬鹿な妖精が、自分の役目が出来るんだ。そういう不満、もしくは自分よりも下の相手が、自分の役目をしていることが、慧音にとっては不満の他ならないのである。
「確かにアレは馬鹿の顔じゃない。真面目そうな顔つき。確かにチルノらしくないな」
 妹紅はタバコを口から離して、煙を吐いた。
 副流煙の黒い靄が青空に舞って、消えてなくなったと同時に、穏やかな声が何処からか聞こえてきた。

「早速チルノ頑張ってるわね」

「「!」」
 二人が同時に振り向くと、そこには薬師である永淋が腕を組んで、穏やかそうな目でチルノの様子を見ていた。
「永淋? ……分かった! 永淋でしょ」
 慧音は手をポンと叩いて永淋に言った。
「? 何のことかしら?」
 永琳は、そんな慧音の一言に、視線をチルノから足元に座る慧音に向けて言った。その声には一種の怪訝を含ませて。
「成る程。永淋しか出来ないもんな」
 妹紅も慧音みたいな事を言った。
 永琳は感づいたらしく、口元の薄い唇を笑いの形に変えて、「ふふっ、それは無いわ。、私は薬は使ってないもの」
 あっけらかんと言う永琳に、慧音と妹紅は驚く。
「え!? 頭が良くなる薬なんかを使ってチルノの頭を良くしたとかじゃないのか!?」
  慧音は酷く驚いて叫んだ。
「いいえ、チルノはそんなズルしないわ」
 永琳はそう言ってから、慧音の隣に座る。こうして見ると、永琳、慧音、妹紅の順で座っている事になる。
「じゃあどうやって・・・?」
 妹紅はフィルターだけになったタバコを、胸ポケットから取り出した携帯灰皿に突っ込んで言った。
 永琳は目を閉じてから、タバコは適度にした方が良いわよと、妹紅に言った後。目を開けて、白い雲がゆったりと流れる空を見ながら、語りだした。


「一か月前にチルノがウチに来て、あたい馬鹿にされっぱなしだから頭良くなる薬をちょうだいって言ったのよ」
「考えそうなことだな……。で?」
 慧音は笑って言い、それを一瞥してから永淋は続けた。
「私は薬を上げずにあることをやらせたわ。さて問題です、私はチルノに何をやらせたでしょうか?」
 役者じみた動きで永燐は慧音と妹に言った。
「あること?」
「う~~ん……分からないな。降参、答えは?」
 妹は片目を開けて、困った表情で言った。
 永林は目を細めて答えを言う。
「ドリル勉強よ。それをやりまくれば天才になるってね」
 ドリル勉強。慧音は予想と違いすぎる答えに、怪訝な顔つきになる。
「しかし、あのチルノがか? 直ぐに投げ出すと思うんだが……」
 事実、悪い成績の生徒は皆ドリルを宿題に出して、答えが書き込まれていないドリルを受け取るのは、慧音にとっては茶飯事であった。
すると、永林は妹紅からタバコを一本もらい。火をもらって煙を吐いてから、言った。
「馬鹿は馬鹿でも、馬鹿正直って言葉知ってるかしら?」
「!」
 慧音はハッとなって永淋を見た。
 永林はタバコを得意そうに持ち、笑顔になっていた。
「絶体に頭良くなるからやってみなさいと言ったら、貸した部屋に籠って必死に勉強してたわ。
 そして夜、チルノを布団に寝かせようと部屋に行ったら、数字や漢字の文章で黒くなったノートやドリルが一杯で、その上で寝てて、全く驚いたわよ」
 慧音は驚きながらも永淋の話に耳を傾けた。
「でね、それから一か月後にどのくらい出来たか試しにテストをしてみたの。そしたらね……」
「まさか……」
 妹紅と慧音は固唾を飲んで永淋の言葉を待った。
「全問大正解の花丸よ!」
 永淋は笑顔で言った。
「チルノ凄いじゃないの!」
 慧音は驚きで声を上げた。
「頑張れば何でも出来ると言うのをチルノに教えられたわね。ひょっとしたら魔理沙と同じく努力家なのかも……」
 永林は目を閉じてそう言うと、授業終了の鐘がなった。
 生徒を引き連れたチルノがこちらに走って来た。その顔は驚きだった。
「け、けーね! もう、風邪はいいの!?」
「もう大丈夫。そうだチルノこの後教室に来い」
 チルノは「?」を頭に浮かべた。
 
 慧音は職員室に置いてある自分のジャージに着替えて、教室へと赴き、教壇に立つ。その手には一枚の紙があった。
 それは表彰状と呼ばれるものであり、努力や功績を残した者にだけ送られる名誉なものだった。因みにこの表彰状は慧音が小一時間かけて書いたものである。
 慧音はチルノに表彰状を渡し、子供達から拍手がチルノに送られた。
 チルノは物凄く戸惑っていて、顔が真っ赤だった。
「表彰状だよ」
 慧音は笑顔でチルノに言った。
「え……あたい、そんなに褒められる事してないよ? けーねに変わって勝手に授業やっちゃたし……」
「褒められる事をやったんだ。威張っていいんだぞ?」
 妹紅はチルノの隣に並んで、青い髪を撫でながら言った。
「あ、あたい、この空気なんだか苦手……」
 チルノははにかんだ。
 慧音と妹紅はお互いに顔を見合わせて、やれやれと笑んだ。
「まぁ、普段はこういうの滅多にないもんな」
 妹紅はそう言う。
 
 今回はチルノの努力が皆に認められた日だった。


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