人口急減・空家急増の時代にまちを楽しくするひとたちの試みを紹介

先進国ではいずこも人口急減や空家急増に伴う諸問題の解決に頭を悩ませている。
とりわけ建築に関連する分野では将来の展望に対する閉塞感が高まっており、
毎年1万人の卒業生たちを世に送りだしている建築系教育機関の危機感は深い。
そんな状況のなか日本建築学会所属の有志たちが、
外国を含めて36の事例を挙げて、
「建築」という概念を拡張することによってより広範囲にわたる社会のニーズに対応する道を示す本書をまとめた。
彼らは集落から大都市まで規模にかかわらず人々が集まって生活を営む場を「まち」と呼び、
まちを活かすいとなみを「まち建築」と名付けている。
ここに示されたまち建築の事例は幅広く、
「建築体操」のように身体を使って建築を表現することによって人々に建築の存在を認識してもらう活動から、
いわゆるまちづくりのスケールまで幅広い活動が紹介されている。
それらの担い手は必ずしも建築の専門家に限らず、
多くの場合住民自身である。
本書は建築の行く末に不安感を抱いている建築の専門家や学生達ばかりでなく、
まちづくりに関心の深い一般市民にとっても豊かなヒントをあたえてくれると確信する。