ダイナミックな生命の連鎖

神秘に満ちたアマゾンの生態系を『川と湖の世界』『樹と森の世界』『土と地表の世界』『空気と気配の世界』の4つに分類し、
さらに、
大小生命が集中する森を、
低層界・中層階・高層階から成るアパートに見立てて記述されている。

低階層に殆どの生き物が集中していること、
さらに、
コルパのミネラルへの考察など、
斬新で興味深い。

狙ったり、
狙われたりしながら繋がり合う動植物たちが、
ダイナミックな生命の連鎖を生みだしているのだ。

まさにアマゾンという小宇宙と呼びたい感覚になる。


さらに、
妖怪についても『水系』と『森系』に分けて記されていて興味深く、
魔境アマゾンの謎めいた側面に触れることができる。

随所に織り込まれたアマゾンの大自然や動物たちの写真も見応えがある。

30年間に渡りアマゾンを彷徨い続けてきた著者の五感を通して届けられたものだけに、
読み手の追体験もおのずと深まる。

深夜のアマゾンに鳴り渡る怪音、
闇の中から迫りくる獣の咆哮、
大気の中に立ち込める異臭、
肌に纏わり付く濃密で甘美な夜気など、
まるで自身がアマゾンの真只中にいるかの如き臨場感を味わえるのも当書の醍醐味であろう。