改訂版だから良いとはいえない

何を狙って３版改訂したのかわからない。
原著改訂版は通信教育のテキストとしての使命を持ち、
根底をなす物理現象をできるかぎり示して、
わかりやすく丁寧に書こうとした薫り高い名著だった。
３版改訂では原著にあったこのような解説を削除し、
他方、
前書きにあるようにＥＨ対応をＥＢ対応に変換させようとしたに過ぎない。
３版改訂をするのなら、
ＥＢ対応を採用した理由を原著の方針に沿って、
現象を丁寧に解説しなければならない。
ＥＨ対応とＥＢ対応については、
どちらかが正しく他方が間違いといえるものでもない。
本書３版改訂はＥＢ対応を強調する一方で、
本全体の構成や解説の深化を図ったものではないために、
かえって表記が混乱し、
分量が増えた割には内容は減っている。
初学者にはとっつきにくいものとなってしまった。
やっつけ仕事のような本書３版改訂を読むよりは山田直平原著改訂版の方を古書で探して読まれることを薦める。

評価としては、
山田直平著のままだったら５であるが、
手を加えて原著の香りを台無しにしてあるので1とする。