まず重要なのは、「普通の人たち」への啓蒙活動。

　現憲法では、
日本が直面する国際的な諸問題に対応できず、
日本の国益が大きく損ねられていることは、
既に多くの人の目に明らかであり、
この喫緊の課題に真正面から取り組んだ、
起草委員会の各氏と産経新聞社の関係者の志と多大な努力には、
深い敬意を表する。

　ただ、
第１章と第２章は、
今の憲法が日本を取り巻く現実に如何に対処できずにいるか、
という問題点の指摘に終始しているが、
現憲法の最大の問題は、
これが自主憲法ではなく、
占領軍による押し付け憲法であり、
成立過程そのものに重大な瑕疵（かし）がある、
という点であり、
何よりもまずこの根本的な問題を前面に打ち出してほしかった。
第４章・第５章の識者の寄稿で、
この点に言及している人が何人かいた点は、
有難かった。