猪口一杯の水には宇宙の星の数より多い原子が存在する.

本稿レビュータイトルは、
本書の１９７〜８ページで解説されている事情から拝借したものである。
即ち１個の水分子“Ｈ２Ｏ”が２個の水素原子と１個の酸素原子の合計３個の原子から構成されることを基準にすると、
猪口一杯「約一八ミリリットル」の水には「約１０＾２４個の原子」が存在するところ、
他方宇宙の星の数は極めてざっくりした概算で「１０＾２２個」と言う。
右解説が非常に印象的かつミクロとマクロの対照的比較であり、
本書のコンセプトを上手く表象しているように思う。
本書のタイトルは一見すると、
非常に堅くて難しそうな印象を受けるが、
タイトルに言うほどの『現代物理学』の難解な数式や方程式等は殆ど扱われない。
アインシュタイン理論の定番、
Ｅ＝ｍｃ＾２、
速度合成式等は格別、
シュレディンガー方程式、
ハイゼンベルグの不確定性原理、
ファン・デル・ワールスの状態方程式など、
私のような文系人間では覚束ない理論も散見されるが、
これらはコラムで解説されており、
本文の概略（流れ）の把握には大きな支障にはならないと思う。
但しある程度の宇宙理論、
物理学、
量子論の知識があるとより理解は深まるだろう。
かかる点では、
宇宙物理論、
量子論に全く不馴れな読者には難所が多いかもしれない。
このページの上の「商品の説明」には、
「なぜモノは引きあうのか……わたしたちの住む世界はいつ生まれ、
どこに向かっているのか」などの身近な謎から始め、
「ミクロの世界・宇宙の果て・極低温など、
日常生活では想像すらできない極限の世界」を解説していくものである。