実例（失敗事例）に基づくリアルな説得力

この本の良さは、
各マーケット概況のまとめの使い勝手もそのひとつではあるが、
本当に良いのは、
筆者が目の当たりにしてきた多岐に渡る《失敗事例》をもとに海外事業開発を推進するものへ重要かつ見落としがちな課題を提示してくれていることだ。
これによって、
読者は多大なコストを費やさずとも（自分で数百万〜億単位の失敗から学ばなくともっ！）注意すべきポイントをチェックリストに追加することができる。
当然、
事業ごとに特殊な課題はそれぞれあろうが、
一般的な海外事業開発タスクをある程度網羅的に列挙していくだけでかなりの作業になることは海外事業に携わったことのある人には言わずもがな共感していただけることであろう。
これから海外事業にチャレンジされる人、
すでに実践されている人、
今後海外展開を検討される人、
担当者からマネジメントまで立場を問わず重宝できるものとなると思うのでオススメしたい。
また、
失敗事例の章の後には成功事例から学ぶケーススタディも続く。
各成功事例におけるポイントを抽出する形で提示されている。
よく見られる成功事例というのは、
その多くがタイミングや事業主体の強みなどがクローズアップされ実ビジネスで参考になることはさほど多くないが、
筆者はそれを意識してなのか、
可能な限り海外展開をミッションとする人の視点で応用できるように成功事例の体制やアプローチを分かりやすく図解することを試みている。
これも理解を深めるにはありがたい点であったことを追記しておく。