今の時代，私たちは，常に状況を理解し，判断し，行動することが求められている。

　将来の世界情勢を予測する上で，現状の認識をしっかりとしておくことは，とても重要なことだ。
私の場合は，その大部分を中原氏の著書に頼っている。
著者の本は，あくまで世界を客観的に分析したものになっており，偏見が少なく，説得力があり，とても信頼している。
本書で私が参考になった点は，次の通りである。

・IEA（国際エネルギー機関）は「2015年までにアメリカは天然ガスにおいても原油においても世界一の産出国になる」と修正したのです。

・新種の石油・ガス田の発見で，世界のエネルギーは増加し続けているのです。
確認埋蔵量を年間の生産量で割った可採年数で見ると，天然ガス埋蔵量は50年分から200年分に増えています。
今後さらに開発が進めば，400年になるという分析もあるほどです。
また，石油の埋蔵量もどんどん増えています。
1973年，第１次石油危機が起きたとき，採掘可能な石油の可採年数は30年といわれていました。
当時は誰もが，あと30~40年で石油が枯渇すると思ったものです。
さらに2000年代半ばにも40年で寿命が尽きるといわれていました。
しかし，現在では100年を超える埋蔵量があるのです。

・2016年以降，北米からシェールガス由来のLNGを大量に輸入できることが確約されている日本で，原子力発電を続ける経済的理由はまったくありません。

・KDDIもケーブルテレビの最大手ジュピターテレコム（JCOM）を子会社化し，すでにマンション向けに電力を販売しています。

・2025年になれば，日本の地方（例えば，北海度や東北，九州，沖縄）の人件費と中国沿海部の人件費の差はほとんどなくなっているかもしれません。

・JX日鉱日石エネルギーは自社生産しているこの水素をトルエンに溶かして，常温・常圧の液体のまま，トレーラーで水素貯蔵施設（水素ステーション）に運ぶ技術を開発しています。
水素貯蔵施設では，車に充填する時点で，独自に開発した触媒を用いて，この液体から気体の水素を取り出すわけです。