祝「書物誕生」　『臨済録』の新しい読み方指南書

「書物誕生」シリーズを心待ちにしていました。

特に『臨済録』を期待して。

入矢義高さんの岩波文庫を再読しながら待っていたのでした。


期待に応えられる本と思います。
まだ三分の一ほどしか読んでいませんが、
特に構成が斬新で、
本書で『臨済録』の成り立ちとその内容が分かり、
さらに現在での受け取り方に指南が与えられる点、
長く「臨済録」に親しんできた者にも新しく読む者にも有益となっているようです。


１７ページに「絶待」という字が出てきて、
あれと思い「広辞苑」を引いたら、
仏教用語で「対立を超越していること」とありました。
そのほか、
著者が親しんでいるらしい仏教用語がかなり出てきます。
それがその語に親しんでいない者にどう受け止められるか。
仏教用語に慣れる機会となるか、
専門用語くさい語の頻発に疑問を感じるか、
分かれるところと思います。


エピローグで大拙氏の伝記に使っている書物は、
大拙氏の聞き書きに近い利点はありながら、
記憶違いをそのままにしていることもあり、
いかがかと思います。


読了した上は、
何らかの読後感を文章にしたいと思っています。

この本とこのシリーズが広く読まれることを期待いたします。