素数からリーマン予想までの道のりを、平易に平易に書き進めた数学啓蒙書の大著
 リーマン予想という数学史上でもトップクラスにある、
有名な未解決問題がある。


数学的にも非常に重要な問題らしいのだが、
困ったことに一般向けの解説本があっても、
とにかく難しくなりがちなのである。
私のような素人が興味を持ったところで、
何が難しくて何が重用なのか想像すらできない。
何しろ証明がどうだこうだの前に、
肝心の「命題の意味」からして理解が困難。
要するに、
リーマン予想とやらの深遠を味わうためのスタート地点に立つことすらできない。


リーマン予想とやらは「ζ(ゼータ)関数の自明でない零点は、
全て実部が1/2の直線上に存在すると思う」ということらしい…?

こりゃ命題そのものはもちろん、
使われている単語の意味を理解する…どころか漠然とイメージすることすら困難。
ましてや、
これがどうして素数定理よりも精度が高い素数密度を出せるのか、
という話にいたっては、
ちんぷんかんぷん。
正直に言って「素数定理」からして私のような素人には難しい。


でも…この「リーマン予想」は何やら凄いらしい。


証明には100万ドルの賞金がついているだの、
映画になるだの、
全く無関係なはずの量子力学のランダムエルミート行列とやらと繋がっているらしいだの、
素数の秘密が解明できるだの、
もう凄い凄い大変でエレガントで神秘的で萌え萌えでキュンとするとか!それほどイカスならば、
否、
それほどナウいトレンドだというならば、
ぜひとも理解したいではないか!しかし、
数学は知らない、
数学を勉強するガッツもない、
だけど、
せめてリーマン予想の概観でもいい、
エッセンスくらいは感じたいんです、
どうになりませんか!

 OK任せろ

というのが本書である。


そうなのだ。
確かに数式の仕様を極力まで避けており、
イメージを主とした解説になっていることから、
全体的にとても判り易い。
そして読み物としても面白く仕上がっている。
ただし、
ちょっと気になる点は、
平易であることを狙いすぎたためか、
無限の濃度の話をしているのに、
対角線論法はおろかカントールの名前すら出てこないなど、
かえって理解しにくい箇所もちらほらあるように感じた。
それがネックといえばネック。
素数の音楽 (新潮文庫)

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