東條英機が気付かなかった大東亜戦争の裏面の真実

　東條英機元首相の供述内容は、
杉山メモ（大本営政府連絡会議速記録）や帝国議会議事速記録といった第一次史料の内容と符合しており、
実に正確である。
また戦争遂行のために必要な戦時立法と戦時予算は、
国民の代表機関である帝国議会によって可決されていたにもかかわらず、
「敗戦の責任については当時の総理大臣たりし私の責任であります。
この意味における責任は私はこれを受諾するのみならず真心より進んでこれを負荷せんことを希望するものであります」と表明した東條の敗戦責任論は、
伊藤博文の憲法義解が詳述する大日本帝国憲法第三条および第五十五条の解釈に極めて忠実である（英訳　憲法義解　The commentaries on the Constitution of the Empire of Japan 参照）。


　しかし近衛文麿が自殺して東京裁判への出廷を拒み、
東京裁判被告弁護側資料中にあった尾崎とゾルゲ事件に関する資料が裁判所に却下されてしまったため（東京裁判日本の弁明参照）、
東條英機は、
三次にわたる近衛声明なかでも近衛の最高政治幕僚であった共産主義者の尾崎秀実によって次のように美化された「東亜新秩序」の本当の意味、
そこに秘められた近衛の邪悪な意図と正体に気付かぬまま、
占領軍に処刑されてしまった。