翻訳者から見た、風と共に去りぬ

著者の鴻巣友季子さんは、
翻訳者で、
本書は、
翻訳者から見た、
風と共に去りぬ論。


従って、
作者のマーガレット・ミッチェルの人物像からこの作品を解題するものではなく、
執筆された時代背景からこの作品に迫るものでもありません。


本書のアプローチは、
正に、
マーガレット・ミッチェルが書いた文章そのものから、
作品を見つめ直すもの。
特に、
行動的なスカーレットに対比する淑女として捉えられがちな、
メラニーについて、
冷酷な現実主義者として描かれている部分が多く、
淑女という言葉で言い表せない、
多面性があることが説明されている。


登場人物の性格描写は、
小説中、
行動によって現されるが、
その他、
当人以外の口から出た、
当人についての評価他によっても描かれる。
これが、
特にメラニーについては、
淑女では片づけられない、
色々な要素を含んでおり、
性格の多面性が生み出されている。


考えてみれば、
作中の登場人物は皆虚構であり、
作者が作中に作り出していくものである。
特にメラニーであるが、
作者のマガレット・ミッチェルにより、
様々な性格を盛り込まれている。


当たり前と言えば当たり前だが、
作家は登場人物をいかようにも作れることがわかった。