2010年代最高の制服系ドラマで大人の感動を、｢意志ある所に道は拓ける｣by鷺坂

私は普通の会社員たが、
自衛隊で働く方々とそのご家族の心持ちの一端を垣間見れたことに感謝している。
防衛･災害救援への国民要請は高まる一方ながら、
基地周辺や軍事ファンの方を除いて自衛隊員そのものを知る機会は殆んど無く、
我々と変わらないごく普通の方々が、
その意志の気高さやモラルの高さを以って、
命懸けで日夜職務に努めてくれている事実を改めて認識出来た。
別に賛辞する訳では無いが、
国民として全うに敬意を持ち、
少なくとも彼等に肩身の狭い思いはさせたくはないとの、
TBSとしては珍しい思い切ったメッセージに共感した。

物語の方は、
新垣が安い意識高い系から本物のマスコミ人へ、
綾野が一介のパイロットから真の自衛隊員へ、
W主役の成長を追うものだが、
他に３つの重要な‘対:エレメント’が有る。
二人を陰で導く柴田と生瀬、
男女併存の厳しい環境を共に生きる水野と高橋、
プロ意識と人生観を問い掛ける要とムロ達だ。
特に柴田の誇り高いからこそ出来る軽重両刀での迫真の演技、
同じく生瀬の新垣に対する潜在能力を信じてこその抑え目の諭し方には心から感心し、
後半のこの二人の対面シーンは余りに深く、
痺れる程の格好良さ。
これら仕事人達のプライドが本作を単なる恋愛ストーリーから記憶に刻まれる社会派の名作に替えた。
また、
桐谷健太の使い方やカメラスタッフの心意気、
サンドイッチマン冨澤の起用等の細かい所にもスタッフの温かさとセンスが感じられる。

日曜劇場にその名を轟かせる歴史物や企業ドラマ群に優るとも劣らない秀作を、
新垣結衣の喜怒哀楽を眺めながら楽しめる素晴らしさ、
他にはない贅沢だ。