人類社会との対話

この本は飛びぬけてすばらしい内容です。
バザーリアという人はイタリアの精神科医ですが、
その立場から精一杯に、
役割を超えた真実のために生きた人だと思います。
その生き方の結果として、
現在イタリアの精神病院は消えてなくなりました。
イタリア社会は精神病の問題を別の捉え方で扱うようになったのです。


自らの職場であった精神病院が消えるということが、
バザーリア氏の最善の生き方の結果であったというのは驚くべきことだと思います。
わたしはこれをイタリアが世界に誇るべき快挙だと思います。


この本はそのバザーリア氏がブラジルで行った講演録です。
ここに収録されている連続講演で、
バザーリア氏はご自分の仕事のことをよく表現してくれています。
それも自己アピールのためではなく、
ご自身のやってこられたお仕事それ自体として、
イタリアでやっていたことと同じ対話の努力をブラジルの人々とをなさっていたことがわかります。
臨場感あふれる対話録を読みながら、
バザーリア氏はご自身のお仕事を通じて常に人類社会と対話していたのだろうと思いました。