哲学的、論理的なバッハ

演奏の印象を一言で言うと「クール」。
感傷に溺れることなく、
速めのテンポでサクサクと弾いていきます。

こう書くと冷たく、
よそよそしい演奏というイメージを抱く方もいると思いますが、
静かな情熱がほとばしっている感じで、
個人的にはすごく好きですね。

高橋自身の編曲による「小フーガ」と「主よ、
あわれみ給え」のピアノ版も収録されていますが、
これも非常に素晴らしい演奏です。


ただ、
「シャコンヌ」はちょっと頂けない。
ミスが結構あり、
タッチもドタドタした感じであまり美しくありません。

専業ピアニストではなく、
しかも自宅にピアノが無いという高橋にこの難曲の演奏は厳しかったんでしょうか？

ということで、
多少不満点もありますが、
値段も安いですし非常にお勧めのCDです。

高橋悠治の1970年代のバッハはどれも非常に素晴らしい演奏ですので、
興味をお持ちの方は是非聴いてみて下さい。