全編書き下ろし！

モデグラ本誌で秀逸な作品を発表し続けていてくれた有澤氏の初の冠名本との事で購入。

全編書下ろしであり、
途中写真も多く手に取り難い価格ではあるも相応またはそれ以上の価値があるものと思う内容の濃さ。

大まかな内容としては、
きちんと組み立てる、
ウエザリング、
金色表現、
プロポーション変更の4項となっており最初の項のMG3.0RX78を使ったところでは流し読みしてしまいがちだが「えっ？」と思うような技術が当たり前のように書かれており著者の模型への真摯な向き合いが見てとれる。


ウエザリングの項で著者はウエザリングに関してはスケールの本が参考になると書いているが、
例えば1/35戦車の技法を1/144や1/100のガンプラにそのまま持ち込んでも確かに汚してはあるけど・・・というものの多い中で1/144を例に考えられたスケールエフェクトで落とし込まれた当作例は実際に戦場にあったらこうではなかろうかという思いを馳せるのに充分すぎる見本でありぜひご一読願いたい。


他の方も仰っている金色表現に関しては、
MG誌お得意のカラーチップでの比較から下地の事まで塗料メーカーの進歩に合わせ既存の考えを打ち破られる衝撃も受けた。
この辺りはなかなか自分で試さず過去の模型誌などの「こうしましょう」がこびりついてしまっている自分も含む古参の部類に入るモデラーにはかなり大きなヒントではなかろうか。


プロポーション変更の項に関しても明確に目指すものがあり、
材料の選択や方法論を考慮して進めるという俗に言う改造初心者の方にも納得できる読み物ではと思う。


また、
本書は脱ビギナーを謡っているが、
こういった本にありがちなこれはこうしなければいけませんと言った強要が無いのも読み易い秘訣かもしれない。
初項でさらっと超絶なツノ加工などもやってはいるが絶対の方法論ではないし著者はこういう方法もありますよと提示してくれている。


最近ガンプラを始めたビギナーを自称する方にはもっと初歩的なO譲の著書を1冊目に、
2冊目にこちらをおすすめしたい。

長らく模型を作っていてそれなりに作れるし塗れる方にもこれからもっと模型趣味を楽しむヒントとして酒の肴にぜひお勧めしたい1冊である。