弟子は自分の能力を勝手に判断するな・・・は正しい

何気なくこの本を手に取り（合気道の道場主でフランス現代思想の先生だという著者のことは、
まるで存じ上げなかった）、
斜め読みしていてp.183-186で、
ハタと手が停まった。
　

曰く：・・・弟子の仕事というのは「自分がどうしてこんなことを稽古させられているのか、
実はよくわからない」ということを認めない限り始まらない。
　・・・僕も若いころは「僕には才能がありませんから」とよく言いました。
謙遜じゃなくて、
ほんとうににそう思っていたから。
でも、
自分が教える立場になったときによくわかった。
それは言っちゃいけない言葉だった。
禁句なんです。

・・・昔、
同門にいくら上から言われても初段の審査を受けない人がいました。
自分にはまだ初段の実力がないというのです。
・・・まことに不思議なのは、
十年以上稽古していたのに、
彼はさっぱり術技が進歩しなかったことです。

・・・弟子の立場にあるときは、
自分が稽古している術技について・・・自分の才能や実力について客観的に語ろうとしないほうがいい。

（引用終わり）

確かに！　何昔も前のことになるが、
学生時代、
伝統武道を修行していたとき若気の至りで、
『〇段を受ける実力はないから。
』と同じようなことを言い張り、
結果的に低段位で進歩無く中断してしまった。
　いまは器楽で師匠に就いているが、
どうも自分で自分に上手くならない縛り（ロック）をかけていたようだ。
　器楽に段位はないけれど、
これからはもっと素直に師匠の言うことを受け入れることにしよう。


［補足］
著者は合気道のお弟子さんに、
早く自らの弟子を持つよう薦めている。
　これは私も大いに同感できる。
　近年、
外国語と器楽を何人かの若者に教える機会があったが、
人様に教えるためには、
こちらも相当予習しなくてはならない。
　教えることは、
一番よく学ぶことでもあるのだ。
　こちら（センセイ）の言うことに一々抵抗して我を通す人は教育効果は殆ど無かったのに対し、
逆に一旦教わると決めたら素直に従う人ほど成果が大きかった。
　著者の書いている通りである。