役に立つ移民だけが欲しい、って、そういう料簡を奴隷経済というんじゃないでしょうか？

日本の人口減少対策として、
移民を推進すべし、
という内容です。

移民推進論については、
いまひとつ現実感が湧かないためか、
日本ではほとんど盛り上がっておらず、
本もあんまり見かけません。

その意味では参考にはなりました。

しかし、
気になるのはやはり「移民推進すべし」の芯の理由。

・将来の日本のために役立つ人々
・良き外国人移民を導入する方策を考える
などのフレーズが目に付きます。

こういうことをいう人は、
将来の日本のために役だたないなら「移民」どころか「日本人」もいらない、
っていうんでしょうね、
きっと。

でも人間の存在は、
良し悪しでもなければ、
国の役に立つか立たないかでもない。

ただそこにある、
というだけのものだと思います。

にもかかわらず、
本書の移民推進論は、
結局のところ経済的な損得勘定に立脚している。
根っこが金欲しさにある。

難民を救済したいとか、
世界から飢えと貧困をなくしたいとかそういう大義名分がありません。

そこに、
移民推進論の限界を感じます。

ひとは誰だって生まれ育った土地に愛着を持っているもの。

それを、
自分ちの都合で（札束で横面をひっぱたいて）引っこ抜いてきて植えようという料簡がそもそも間違っている。

日本の人口減少は日本の問題なのだから、
まずは人数が少ないなら少ないなりに社会インフラを維持する方法を考えるほうが（倫理的に言っても）先だと思います。