外伝作ながらシリーズ初見の方でも読みやすい工夫と配慮が十分。スパイ映画じみたストーリーが魅力

・大勢の登場人物！　○○がいきなり殺される！　○○さえ殺される！
・正体と思惑が読めないけど、
固い決意をもっている敵勢力！
・むしろ味方のほうが胡散臭い！
・物語のキーマンもいきなり登場！
・どうなる、
新人！

舞台が日本、
登場人物のほとんどが女子でありながら、
ストーリーラインは
機密情報を握る要人を狙うA国と、
保護したいB国、
そこへさらに第三の女？も絡む感じであり、

ハリウッドの大作スパイアクション映画を思わせます。

そして化け物が出てきたりはせず、
あくまで魔法少女同士で戦うというのがまた良い。

各キャラの生い立ちはほとんど語られませんが、
殺伐とした空気感作りの助けにもなっています。


やたらゆるい口調のキャラさえ殺したり殺されたりすることが気にならなければ、

大勢の登場人物が、
ストーリーのためきびきびと動き回るその様を存分に楽しめることでしょう。


メインキャラ達には例外なく「変身前」「変身後（魔法少女時）」という二つの異なった姿があり、

コスチュームはおろか、
人物によっては性別・顔・口調・背丈さえも違っているので、

誰が誰なのかを整理しながら読まないとちょっと大変です。

正体が「男」であっても絵柄では美青年通り越して女性に見えたりするしで…w
なおそのあたりの世界観説明は、
簡潔ながらしっかり作中で行われるので好印象です。


物理寄りな魔法バトルは描写がやや大味でして、
これが最も残念なポイントでした。

表情をクローズアップしているシーンが多いため、
敗れた女の子の絶望感などはよく描かれています。

流血や吐血描写あり、
一方で死体描写はあまりグロテスクでもなく、

ゴア過ぎて読めないという心配は無いと思われます。


逆に言うとリョナ要素は弱めなのですが、

現れるなり死んでいて足蹴にされているモブ、
コミカルな描写ながら寄ってたかられ殺される某キャラ、

そのキャラが殺された事実を、
他の童顔のキャラ達があっさり流してしまう……といったあたりには、

言い知れぬ気味の悪さがあります。