夏が迎えるもの

【逃げ水】
作曲と編曲は谷村庸平氏。
旋律は杉山勝彦氏に代表されるドラマティックで哀愁を帯びた乃木坂調。

ピアノの独奏で始まり、
色々細かいギミックが施されている楽曲で祭りの囃子の様な打ち込みがあり
微かな音の揺らぎやサビ前の「月の光」は蜃気楼を思わせる構成。

大サビのピアノのグリッサンドから派手な90年代風打ち込み（イントロ・間奏同）でクライマックスを迎え、
そしてまたピアノの独奏で幕を閉じる。

昼夜で顔を変える夏の曲として、
秋に向かう夏の名残を音楽的に表現した曲として秀逸。

秋元康氏の逃げ水の詩世界は俳句的な人生観の詩であり曲と相通ずる。


この表題曲がMVでも上手く表現されており、
蝉の鳴く折、
緒川たまきが執事長の伊丹家に奉公に来た三期生の大園桃子・与田祐希が
エキセントリックな家人達に振り回されるシュールなドラマから一転して全員でのハルジオン的なダンス場面になり
阿波踊りの様な振付もあり足袋、
提灯、
風鈴と最後の合掌が和的な情緒を醸しだして、
大切なものを想起させる。
余韻が切なく沁みる一曲。

夏は今だけではないな、
と。