「語るべき物語」の連関とうつくしい抒情性
本書はアメリカで2012年に発表され、
レアード・ハントの6作目の作品となります。
19世紀から20世紀、
アメリカ中西部の田舎にある「楽園(パラダイス)」と呼ばれるうつくしい土地が舞台となり、
奴隷や南北戦争などが主題となっています。
白人女性のジニー・ランカスターの視点による話が本書の大半を占めますが、
黒人奴隷のジニアや黒人男性の語りも作品中では重要なはたらきをしています。


複数の語り手のつむぐ物語は、
うつくしい旋律を奏でる詩であり、
豊饒な抒情性があります。
ことばの持つ抒情性と複眼的な語り手、
そして物語全体を覆う暗澹とした雰囲気とが、
作品の構造を奥行きのあるものとしています。
田舎で起こった小さな出来事であり、
奴隷や戦争について直接的に言及または追究する場面はありません。
作品の中で展開されるのは、
異なる人種が物語る個人的な体験です。


作者がおこなっているのは、
複数の語り手に「語るべき物語」を語らせること。
登場人物のひとりで信心深いルーシャスが語る章「ルーシャス(闘う者)1912年」の終盤に、
ジニーの印象的な言葉があります。


「もしお読みになりたければ、
ここに本当の物語があります」と彼女は言った。
わたしの物語、
かの女の物語、
その両方です。
おわかりですよね、
だれのことを言っているか」(p.221)

このジニーの言葉は本書における「語るべき物語」の効果をシンボリックに表していますが、
この「語るべき物語」の連関が作品にもたらす効果はすばらしい。
奴隷と戦争のテーマを、
直接的な言及がないにもかかわらず浮き彫りにしつつ、
ひとつの洗練された作品を創りだしているのです。


そして柴田元幸氏の翻訳もすばらしい。
人称(「私」「わたし」「あたし」)の使い分けもそうですが、
特にジニーが語る章「優しい鬼(畑と花)1911年/1850年代/1861年」では翻訳の神髄を示しているように思えます。
たとえば、
ひらがなを多用し、
やわらかい印象を与え、
惨憺な内容と印象的な対照を生みだしています。
また、
読点を排除し流れる文体にすることで、
「語る」ことそのものを文字に起こすことに成功しています。
さらに詩情は翻訳を通してもまったく損なわれず、
ことばの質感を感じることができます。
優しい鬼

その他の感想

安いかな?
Mサイズを購入。
どちらかと言うと収納の本ではなく、家作りの本
「わかること」がわかってくる。
できた先生ではありますが
華麗なスターとなるまでの過酷な少年時代
玄関に、暖簾を着けるのに、購入しました。
リピーターで、既に3点目です
実証データの重さ
もったいないかな
好き。
難病と闘う家族を持って
リフレッシユしたいときに・・・
残念・・・
会社のドア修理で使用
システムを突き詰めて、圧倒的な個性を披露した傑作!
笑いもちりばめられていますが
どの高さのものを購入しようか検討中の方へ
疲労回復によく効く
この冬に出番ナシでした
銅メダルおめでとうございます。
娘のプレゼント
最悪ー
サッカー漫画として本格化。武蒼”という素敵なチームが出来上がるまで。
強すぎる!
ストーリーがドラマティックに・・。
商品の到着が早い
サビが・・・。
1stからユーノ君が減って、可動するようになった
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