産業革命以来のイノベーションの時代に適応した戦略思考とは

本書は企業再建の経験豊富な経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦さんとファイナンシャルアナリストの岸本光永さん、
経営共創基盤ディレクターの石田諭さんの共著である。

1990年代以降産業革命以来の大きなイノベーションが起きており、
この変化に適応できるかどうかに日本経済と日本企業の命運がかかっていると著者（冨山さん）は言う。
またここ20年の日本経済が停滞している原因の本質は、
変化に適応しないで時代遅れになった古いビジネスモデルに執着したことにあるとして、
経営者に根本的な発想の転換を迫っている。

少々乱暴だが、
本書の構成を一言で言うと、
冨山さんが経営環境の変化について概説と今後取り組むべき課題について整理し（一部処方箋も）、
岸本さんが経営戦略の基本概念をおさらいしながら処方箋を提示、
さらに石田さんが両者の主張を具体的な事例で補完する、
といったところか。
企業規模が小さいが故に、
意思決定の質と実行力において大企業よりも有利な中堅企業の経営層に向けて書かれているのも本書の特徴である。
これからの日本経済の全体像を概観し、
企業の進むべき方向性を見定めるために読んでおくべき好著である。