若手弁護士はもちろん、ベテラン弁護士にもお勧め

７年目の弁護士です。

著者は、
若手弁護士向けを念頭に書かれたようですが、
若手のみならずベテラン弁護士にも有意義な本だと思います。


弁護士ならおわかりと思いますが、
事件には勝ち筋・負け筋があります。

弁護士の力量の差が出るのは、
やはり勝ち負けが微妙な事件、
難しい法的判断を含む事件や、
重要な事実関係に関して争いがあり尋問が勝負となるような事件でしょう。

もっとも、
著者も述べていますが、
依頼者の言うとおりに事実を主張するだけでは良い結果にはなりません。

勝敗を分けるようなポイントを取捨選択する必要があります。


本書では、
弁護士が事実関係を主張するにあたって意識すべき点がまとめられていると共に、
具体的事例を元にして依頼者へのヒアリングから書面作成に至る流れ・書面に対するコメントが記載されており、
さながら仮想ＯＪＴのようです。

弁護士が依頼者からヒアリングをする際の注意点が、
実践的に述べられている点も特徴的です。
このような観点からの記述がある本は余り無いのではないでしょうか。

若手弁護士、
特に先輩弁護士から十分に指導を受けられない弁護士にとっては、
非常に有意義な本となることでしょう。


経験を積んだ弁護士であっても、
本書に書かれているような点を十分意識しつつ、
事実確認・主張ができている弁護士は少数でしょう。

「何となく、
経験と勘で」やってしまっている点を、
整理・意識することができる内容だと思います。

むしろ、
ベテラン弁護士こそ読むべき本かもしれません。


７年目の弁護士の立場からは、
非常に面白く、
一層精進しようと感じさせられる本でした。