幅広く深く、それでいて読みやすい、筆者の情熱を感じる紅茶の教科書

素晴らしすぎる情報量です。

とても1度読んだだけでは覚えきれないので、
何度も読み返しています。


紅茶の産地の気候・製法・茶葉の特徴・ベストシーズン、

各茶葉と食べ物との相性やおすすめの飲み方、

茶器の歴史、

紅茶にまつわる偉人たちの歴史、

紅茶の健康効果や食べ合わせ、

テイスティング方法、

お茶の淹れ方(ジョージ・オーウェル式など何通りも紹介されている)、

ブレンド方法・おすすめブレンド、
オリジナルティーレシピ
などなど、
紅茶に関する幅広い知識がぎっちり収められています。


「アッサムティーの渋みは、
水分の多い気候によって育まれる」などといった、
産地の地理的条件や気候条件等に紐付いた紅茶の知識が身につきます。

それでいて、
オールカラーなので見た目も美しく、
とても読みやすいです。


「午後の紅茶」開発に携わった著者だけあって、
食べ物に合わせた各紅茶の飲み方表は圧巻です。

「肉類に合わせるなら、
この茶葉はブラックティーまたはアイスで」などとあらゆるパターンを検証した結果が記されています。

肉類の脂を溶かすためにどのくらいの温度が良いかまで考えるとは…と、
びっくりしながら読みました。

全体的に、
このようなテイスティングや古い文献の参照など、
熱意ある実験や調査が随所に感じられて、
筆者の紅茶に対するあくなき探究心がただただ素晴らしいです。


また、
ただお茶を飲むことだけに関心が向けられるのではなく、
お茶の産地で直接茶摘みなどの労働に携わる人々への関心や深い敬意が感じられるところが、
特に素敵だなと思いました。

お茶によって人々が虐げられてきた歴史についても触れたりして、
産地で働く人々についてきちんと理解し、
ただの生産者としてではなく、
素晴らしい製品を産み出す人々として紹介しようとしている誠意ある態度を感じます。


ただ娯楽的に楽しむのではなく、
きっちりと紅茶に関する知識をつけたい方におすすめです。