タイトルは、元々夏目漱石の文章から着想されています

「日本が過去にしたことがすべて正当化できるわけではありませんから、
日本人が自国を批判することも大切です。
しかし『日の丸』掲揚反対、
『君が代』斉唱反対などといって、
しかもそれが良心的な日本人の証しだと思い込んで、
日本はたいした国ではないと他人事みたいな口をきいている。
しかし自国に対して自敬の念self-respectのある人こそ、
隣人や隣国をも大切にする人ではないでしょうか」。


昭和6年生まれの比較文化史家が、
自国を否定的に見る風潮に異を唱えながら、
戦後の教育や思想のどこに問題があり、
どのようにすべきなのかについて語った本。
扱われている主なテーマは、
国を守るということ、
自由と民主主義について、
歴史認識問題、
外国語教育、
人材育成である。
序章に説明があるが、
タイトルについては、
夏目漱石の文章に由来している。


独自の視点から自由に意見を述べている。
特に、
「『朝日新聞』を定期購読でお読みになるみなさんへ」と付けられた終章に代表されるように、
各所において朝日新聞やそれに近い主張をしている人達を批判しているところがあるので、
該当する方は好ましい本だとは思わないだろう。
ただしその一方で、
「あんな悲惨な敗戦に日本を導いた軍部がなんで正しいはずがあるものか」と断言したり、
繰り返し言論の自由や民主主義の価値を強調しているように、
さらには「今の日本で困ったことは、
第一に日本のしたことは全て悪かったというような日本全否定論者がいることと、
第二に日本のしたことは全て良かったというような日本全肯定論者がいることです」と書かれている。
おおまかには、
戦勝国史観や自虐史観及びそれに基づく史実の曲解や自国否定については強く戒め、
自由と民主主義の価値を尊び堅持して内外に示すことに努め、
外国語で論理的に自己主張できる教育をしっかり行い、
世界に通用する教養を持った人材を育成することを奨励している。