この本を読んだだけで、突然交渉の達人になることはありませんが、有益な本です。

私は会社で法務を担当しているため、
契約書の条件交渉を日常的に行っています。
瀧川英雄著のスキルアップのための企業法務のセオリーでこの本を推薦していたので、
手に取ってみました。

契約交渉にあたる法務担当者なら「どのような契約条件を提示しようか」、
「相手方にどうしたらこちらの提案について納得してもらえるか」日々悩んでいることと思います。


この本では、
ハード型でもソフト型でもない、
原則立脚型交渉を提唱しています。

とくに印象に残ったのは、
「双方に共通の利益を探す。
」です。
図書館で、
1人の人が窓を開けるよう主張し、
他の人は窓を閉めるよう主張しているところで、
図書館の人が、
1人目になぜ窓を開けてほしいのか、
ヒアリングすると「新鮮な空気を入れたいから窓を開けてほしい」といい、
2人目にヒアリングすると、
「風にあたりたくないから窓を閉めてほしい」といいます。
両方の話を聞いた図書館員は、
となりの部屋の窓を開けて両方のニーズを見事に解決します。
目の前の主張ばかりに目を奪われないで、
背景にある利益に目を向けることでWIN-WINの解決を目指すことができるようになります。


　この本の最後に記載されているとおり、
この本に書いてあること当たり前のことですが、
感情や意地などが邪魔をして、
頭ではわかっていてもできなかった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
そういう意味では交渉に日常的に取り組んでいる人にとっては、
基本に立ち戻る意味で有益だと思いますし、
交渉経験があまりない方には、
交渉のうまいやり方を示してくれるという意味で非常に有益ではないかと思います。

　また、
この本の結論にも書かれていますが、
本を読んだだけで、
突然交渉の達人になることはありません。
この本に書いてあることを理解して交渉の経験をたくさん積むことで交渉がうまくなると思います。