お帰り、伯爵

ワラキア公国の君主、
ヴラド・ツェペシュを題材に、
史実とフィクションを織り交ぜながらも、
迫力満点のアクションと映像美と共に家族愛を描く……と言うのはまぁアメリカ映画のお決まりの設定ではあるものの、
意外に感情移入出来る場面が多々ありました。

眼の疲れる迫力満点のアクションと鬱陶しい家族愛だけで構成された映画ではないと評価出来る。

一国の君主として、
国を治め、
民を守り、
興亡を分ける戦を指揮する君主でありながらも、
矢張り、
民の弱さが肝心の興亡を分けます。

トルコからの圧力に簡単に揺らぎそうになる公国の君主。
ヴァンパイアに成り果て、
人智を超えた力を獲ても人の弱さに失望し、
信頼していた配下の者からの裏切りに振り回されます。

それはヴラドが真の意味で鋼の如く強い“人間”であったからなのか、
家族愛への誓いを忘れなかったからなのか、
やはり守る者は強い。

「私を誰だと思っている!!?」決して権力を振り翳すタイプの人間ではないものの、
自分が命懸けで守り抜こうとするものに、
危害を加える者には味方であっても容赦しません。

諦めを拒絶する為に闇の力を受け入れ、
息子の為に滅びという末路でさえも自ら一身に引き受けた君主、
父ヴラド。

息子に希望を託して太陽光を浴びる表情が余りにも切なすぎます。
泣いた。

瀕死のお妃に自分の血を飲むように告げられ、
人間を捨てた事に絶望するヴラドの姿は「HELLSING OVA7」のセラスとベルナドットとのシーンを思い出した。

アクションは「るろうに剣心」の方が凄いから星3つ。