大変に内容の濃い良い本

月刊雑誌文藝春秋とほぼ同じ大きさで、
232ページあり、
しっかりしたつくりの本。
内容は、
まず、
映画名場面ベスト20として映画のワンシーン、
それから、
健さんの写真があり、
これは、
他の雑誌や写真集掲載のものとは異なる写真で、
鉄道員で志村けんさんとふざける写真など、
健さんの素顔が満載。
写真も綺麗だ。
さらに任侠映画ポスターコレクションがあり、
また、
文藝春秋で掲載された健さん最後の手記、
さらに養女の小田貴さんの手記。
そのほか、
降旗監督始め親しかった人々の思い出など。
NHKクローズアップ現代の国谷さんとの対談の全文掲載などもあり盛り沢山の内容だ。

なかでも、
小田貴さんの手記は、
健さんが体調を崩したあと亡くなるまでの様子が述べられており、
身近に寄り添った者のみが知る、
普段知ることがてきない健さんの言動と闘病の様子が語られ深い感銘を受ける。
彼女の文章には、
健さんに対する深い愛情が感じられて特筆ものだ。
こういう言い方は大変失礼だが、
文章には彼女の教養と人間性が感じられて、
さすが健さんの全幅の信頼を得た女性であると感じさせられる。

今回、
黒子に徹し続けた彼女が文を寄せたのは、
文藝春秋の今回の本作りに対する信頼があったのだろう。
健さんの追悼本としてありがちな便乗本とは全く違う誠意のある内容の本だ。
健さんに対する追悼の念をあらたにさせられる。