水素は社会を変え，社会を救う．

水素を酸素と反応させて発電し，その電気でモーターを回して走る電気自動車 ’’MIRAI’’ がトヨタから一般の消費者向きに発売されています．世界初の試みです．究極のエコカーと言われるのは，水素と酸素の反応で生まれる水しか排出しないからです．MIRAIは水素社会到来の先駆けとなった．本年5月22日の朝日朝刊にも「水素の街 名乗り続々」と掲げて山口県興南市の取り組みを紹介しています．市には化学メーカーの「トクヤマ」や「東ソー」があり，化学薬品をつくる際に出る大量の水素を用いて燃料電池で発電し，活用を始めた．化学メーカーの生み出す水素はMIRAI 2千万台以上を満タンにできるそうです．水素社会を牽引するのは燃料電池車だと本誌はいう．自動車だけでなく吾ら一般家庭にも燃料電池が普及すれば環境問題は飛躍的に解決する．そこで重要なのは水素の生産です．水素は水を電気分解すればいくらでも得られるが，その電気は太陽光発電，風力発電など自然エネルギー由来でなければならない，大気中の二酸化炭素（CO2）濃度は今現在も着実に上昇を続けている．一旦排出されたCO2 は現在の技術では減らせない（現在の濃度は350ppmを超えていると思う）．このまま排出を続ければやがてティッピング・ポイント500ppmに達し，人間社会は熱で崩壊する．地球温暖化どころではない．大気熱化，まさにGlobal Heatingである．それを避け，持続可能な社会を築いていくための有力な手段の一つが「水素」なのだと，本誌は力説しています．

ところで ，本誌に記載のなかったことですが，燃料電池車は水素と酸素の反応で生まれた水が寒冷地では凍って始動できなくなる．そのままでは北米・北欧の多くで冬に使えない．これが課題でした．’’MIRAI’’は停止時にこの水を吹き飛ばし，次の始動時に発電で生じた水が凍り始めるまでの僅かな時間，燃料電池に送り込む酸素の量を減らし，電圧を高めることによって必要なな熱が得られるように工夫したそうです．本年5月21日朝日朝刊に「燃料電池の弱点克服」にありました．’’MIRAI’’を私は見たことがありません．’’MIRAI’’の技術を使った自動車が巷に溢れる日の到来を私は待ちに待ちます．