ストーリー展開が本当に上手い。「あー、路線変更かあ。やっぱここでただの甘甘ラブコメになっちゃったかあ…」という失望も、すぐに取り返した。

2巻までとは打って変わり、
主人公と、
呪縛を逃れ、
元の明るい人格を取り戻したヒロインの青春ラブコメが展開され、
最早タイトルが一切関係ないただのラブコメじゃんこれ。
なんだよ水着回とか。
もう世界観すらも違うじゃん…

…とかガッカリしながら読み進めていたが、
この漫画はやはり違った！

ヒロインはたとえ性犯罪者から逃れられても、
幼いころから性的虐待を受け続けたトラウマは当然すぐには消えないし、
そんなヒロインは幼馴染の少年以外の男には未だに触れることができず、
主人公はそこに絶望と、
彼女の幼馴染への激しい嫉妬を覚える。


キスもできないなら別れようと切り出す主人公。


控えめで、
男に触れることのできないヒロインが自分から主人公にキスする場面は、
本当に名シーンだった。


そしてその後の、
今度は主人公から触れようとするシーンも突然の不意打ちギャグで、
実に傑作。


4巻では新ヒロインとして、
主人公の幼馴染らしき美少女が登場するらしい。
きっと更にラブコメ要素が濃くなるのだろう。
だからこの3巻を読んでもやっぱり路線は変更しているんだが、
数ある路線変更で駄作になる漫画とは違い、
これは物語上で重要な要素を消さないし、
新しい展開をやっても、
面白さをしっかりキープしている

（ただ、
「中卒の俺に彼女が~」「中卒の俺が何々してみた~~」の連呼は止めて欲しい。
安っぽいラノベのタイトルみたいだし、
既にタイトルになっている”中卒”を、
今更無理矢理強調するのも、
変だ。
そもそも、
とっくにもう"高校生"なのだしね）。


そして、
ムショにブチ込まれている父親も登場しそうな空気がある。
犯罪者が裏で絡んでたり、
露骨に波乱の予感である（この辺りのストーリーも普通の恋愛漫画とはかなり違う）。


"ヒロイン"と、
主人公が"中卒"になってしまった切欠を作った犯罪者。
この2つのキーワードは、
この漫画の二大要素を象徴している。


今後もラブコメを続けつつ、
だがどこかに暗い影がある。
そんな物語に期待したい。