ジャズピアノの神様

Art Tatumはジャズピアノの神様とまで言われた伝説のピアニストだ。

このアルバムはその彼のキャリアの初期に当たる1933年の演奏と、
後期にあたる1949年の演奏の２つにわかれている。


最初の４曲は1933年の演奏だが、
いずれの曲も超絶技巧を駆使した非常に豪華な演奏だ。

特に3曲目のTiger Ragはジャズ史上でも類をみないほどの演奏であり、
この人が神様とまで言われた所以がよくわかる。


残りの曲は1949年の演奏であり、
最初4曲に比べるとややおとなしい印象をうけるが、
よく聞いてみるといずれの曲も細部に至るまで実に細かく、
端正に構築された演奏になっている。

その構成美や複雑な和声、
全体の進行はジャズという即興の世界にありながら、
クラシックの世界に劣らない完成度のきわめて高い演奏となっている。

20世紀を代表するクラシックのピアニストのホロヴィッツや大指揮者トスカニーニがArt Tatumの演奏を聴きにクラブに訪れたことは有名な話だが、
それももっともなことだというのがわかる。


彼は1956年に亡くなってしまったが、
今でも世界中のジャズピアニストから尊敬を受け続けている。

このアルバムを聴けば彼が生涯のキャリアを通じて如何に神がかった演奏を続け、
発展させて来たかがわかる。