自分のあたまで考えること

今後の日本社会にも影響することが予想される問題を、
モデレーター含め8人の知性が語った講演を収録しています。

タイトルは10年後となっていますが、
基本的に「将来」という意味であってきっちり10年後の社会を予測・予言するような本ではありません。

テーマは、
反知性主義、
社会の高齢化、
医療問題という具体的な問題であったり、
感情のコントロールができない人々（ヘイトスピーチや嫌中・嫌韓との関連でしょう）の増加を社会学的に考察をしたり、
戦後の日本社会を理想の時代・虚構の時代・不可能性の時代の3つに区分しての考察となっています。

現代社会が抱える問題を網羅しているというわけではないでしょうが、
どの講演にも考えさせられるところがあります。


経済のグローバル化が進む中でグローバルな人材が求められる、
なんて言いますが、
国内でみると地方に人材を定着させ振興するために各地方での教育の重要性を強調した講演もあります。
少子高齢化の中で地方は切り捨てるというような、
乱暴でデリカシーのない議論には与したくありませんし、
これからはローカル化ということも大きな課題じゃないでしょうか。


2つの講演で「自分の頭で考えること」、
1つの講演で「想像的なものへの感受性に満ちた人の輪に身を投じる」ことをすすめています。

刺激ある本です。