理論はしっかり。でも「それなり」を目指す人向け

ボイトレに興味を持ち、
手始めにこれを買いました。

現在はトレーナーに教えて貰っていますので、
それを踏まえレビューします。


まず、
本書籍で述べられている理論に大きな狂いはありません。

しっかり本を読んで、
注意点を意識して継続していけば必ず一定の変化はあります。


ただし、
その一定以上の変化は現れないと考えるのが無難かと思います。

あなたが思い描くアーティストの完成された発声には、
本書のみでたどり着くのはかなり困難です。

あくまで、
高い音を無難に歌うことができる発声が学べるに過ぎません。

（完成された発声には非常に細かい調整と弛まぬ努力が不可欠なので仕方ありませんが……）

もしあなたが、
裏声と地声をある程度コントロール出来たり、
周囲から凄く上手いと言われるような人であったり、

ネットリテラシーが高く、
ある程度正確な情報を取捨選択できるのであれば、

本書で学べる事は殆どなく、
ある意味「答え合わせ」のようなものになると思います。

その先に行くには、
別の方法を考えるべきだと思います。


対して、
「ＣＴ」などといった言葉や、
「ミックスボイス」という言葉を聞いて
定義や理論をしっかりとした根拠に基いて説明できるような人でなかったり、

周囲から「音痴」といわれてしまったり、
どうも歌声が掠れていたり、
裏声が出ないような人であれば、

「ちゃんと継続していけば」大きな成長が望めると思います。


乱雑な言い回しですが、
歌があまり上手でない人が平均以上に上手くなる本であって、

歌が平均以上に上手い人がそれ以上を求める足がかりとするような本ではないという事です。