本書は人生の教科書です

本書は罪、
悪、
死、
信仰、
愛、
癒し、
寛容、
正義、
地獄、
自殺、
職業の11章で構成されています。

あとがきにある通り、
本書の主な読者層として想定されているのは大学生です。
大学生にとって以上の11章はすべて価値のある、
読むべき内容であることに間違いありませんが、
私が特に読まねばならないと考えるのは第11章「職業」です。

私たちの人生の殆どを占めるのは労働です。
ですから、
職業というものをしっかり捉えられるか否かが、
人生の価値を左右します。
労働環境の悪化が叫ばれる昨今、
この重要性は増しています。

さて、
筆者は宗教的・倫理的に職業を考えていきます。
まずはその代表としてウェーバー・テーゼを紹介し、
またそれ以外の様々な思想を紹介して、
エゴイスティックな現代社会を批判しています。
そして現代の病巣の一つであるエゴイズムからの脱却と、
そのために必要な「通用しうる倫理」を探すことの重要性を説いています。

私たちは働かねばなりません。
肉体労働か、
または知的労働か、
その別はあっても働くことに変わりはありません。
そのような中で、
自分にとっての職業を考える事はもはや必須です。
しかもその考えは一時的なものではなく、
しっかりと深く考えることです。
本書はその教科書なのです。
大学生はこれを読み、
モラトリアムの貴重な時間を使って考えましょう。
こういった時間こそ、
価値があるのです。