ファッションの指南書でありながら、成熟した文化への道しるべにもなっているすぐれた本

　若さは何を着せてもそれなりに可愛いいものだ。

　しかし、
大人といわれる年代になると、
体型に合うだけではなく、
「自分という存在」をファッションでどのように表現するかが「素敵」の決め手となる。

　さて、
その「素敵」とは何か？
　その法則をわかりやすく、
「ファッションテイスト診断」と着こなしテクニックの解説付きで、
読者を魅力的にしてくれる指南書が政近準子著「「素敵」の法則」。


　「おしゃれにならない理由」や「大人の流行との付き合い方」「トレンチコードを小粋に着こなす」の章はそのテクニックと視点に目をみはらされたが、
圧巻なのは「ファッションテイスト診断」。

　顔や体型といった外見中心から分析し、
8つのファッションテイストのうちどれが魅力を引き出してくれるのかを探るもの。

　私もやってみた。
見つけた！似合うファッションテイストを！と思わず興奮。


　この指南書のすぐれた点は、
診断だけで終わらず、
そこから素材、
デザイン・デイーテール、
カラー、
柄、
アイテム、
小物・アクセサリーまで似合うものを分析し、
さらにおすすめコーディネートまで懇切丁寧に解説がつき、
まるで隣に専属のスタイリストさんがついているかの錯覚を覚えるほど。


　「おしゃれとは」「素敵」とは何か？成熟した社会には「文化」が宿るとは言い得て妙。

　「「素敵」の法則」の最後の章は「素敵」の結晶のような著者のファッション感「服だけでは完成しない」で締めくくられていて、
著者を貫く生き方の哲学を見る思いになった。

　本書はファッションの指南書でありながら、
成熟した文化をめざすマイルストーンでもある点が他の追随を許さないすぐれたところだろう。

　著者渾身の一冊である理由が見て取れる。