表紙の娘から感じる綺麗な恋愛に、人生の切ない味も加わった良作です

全てラブストーリーなのですが、
「星屑ダイアリー」が同じ部署で働く男女が誤解と理解の末に結ばれるべた甘ストーリーなのに対して、
「なつまち」と「あまい声」は華やかな（というかそう見える）都会の暮らしへのあこがれや未練を振り切る苦しさを感じながらも本当に好きな人と共に地方で暮らすことを選ぶ話。
人生の切なさも語られているので、
愛の思いがより深くなっています。

もう一点。
出てくる人は好きな人を裏切りません。
また、
自分の心の中の恋心も汚しません。
告白できなかったり、
強引に迫ることができなくても、
恋を踏みにじって先へ進もうとはしません。
これがラブストーリーの神髄かもしれませんね。

ヒロインの誇張しない、
可愛らしい顔や柔らかそうな体の絵はとても綺麗です。
苛めたり変わった事をするセックスはありません。
ストーリーを追わずに眺めているだけでもニコニコになれる優しくて素敵な絵でいっぱいです。

一番ドキリとしたのは「17（セブンティーン）」。
34歳の独身サラリーマン明が17歳の女子高校生佐那子と偶然出会って、
互いに惹かれあって、
・・・。
キスもしないでこれだけ感情が盛り上がり、
明日に続くものを描けるとは。

最後の「あまい声 Bonus track」(書き下ろし)はヒーローの妹が東京観光にヒロインの元部下を訪れる話で、
これは手も繋がない恋愛。
でも良いです。