一次資料の重要性と、史実を多角的な視点から理解することの大切さを強く感じた

戦時中の中国大陸や東南アジアでの写真を紹介した本。
タイトルにあるように、
各地で日本軍による解放や記念に旗を持っている人たちが多く写っている。
その一方で、
中国側のおこした事件や米軍の爆撃による被害といった目をそむけたくなるようないたましい写真も掲載されている。
また、
日本がなぜ泥沼の戦争に足を踏み入れることになったのかについても最初の方で解説されているし、
終盤では朝鮮人志願兵たちの姿も記録されている。


この本が貴重なのは、
当時の写真という一次資料を中心に構成されていることだ。
都合のいいものばかりを集めているのではないかという批判は当然あるだろうし、
当初は解放軍として歓迎されたのは事実としてもその後は現地でいろいろなことがあったのではないかということもいえなくは無いかもしれない。
しかし、
百歩譲っても、
確かにここに掲載された写真の数々が物語っているような史実や、
現地の人々が日本軍による解放を喜ぶような時代背景が当時のアジア各地に広くあったことは否定できない。


右とか左とか、
したり顔で安直にレッテルを貼って非難するのは簡単にできる。
しかし、
歴史というのは、
えてしてけしてそう単純なものではない。
一次資料の重要性と、
複雑な事情が絡み合っておきている史実を多角的な視点から理解することの大切さを強く感じた。
こういう資料はもっとたくさんある筈で、
積極的に発掘して公開すべきであると思う。