海上自衛隊東京音楽隊の今を伝えてくれる1枚

河邊一彦隊長指揮する、
海上自衛隊東京音楽隊の演奏で収録、
前作は三宅3曹のヴォーカルが主でバンドが表に出ているとは言えませんでしたが、
このCDはバンドが主役です。

収録曲は東京音楽隊が、
定期、
定例、
ファミリーコンサート等の各種演奏会で演奏してきた十八番ばかりであり、
それゆえ大変素晴らしい名演奏ばかりであり、
特に演奏のバランス、
的確な楽曲の解釈と引き出しの広さはプロならではです。

実際、
ちょっとした演奏会のような選曲です。

また河邊隊長の自作自演も収録されており、
『イージス』『遥かな海へ』『嵯峨野』の3曲とも既存の吹奏楽曲とは違うオリジナリティ溢れる美しい曲であり、
吹奏楽ファン必聴!
そして吹奏楽の醍醐味といえばなんといってもマーチ、
このCDには『東京オリンピック・マーチ』『軍艦行進曲』が収録されていますが、
前者のオリンピック・マーチは速めのテンポで颯爽とした演奏が海上自衛隊の音楽隊らしくて良いですし、
後者の軍艦行進曲は制式行進曲だけあり、
オーソドックスながらも威風堂々とした重厚な仕上がりになっています。

世界中のバンドを探しても軍艦行進曲を上手く演奏するバンドは海上自衛隊以外ではそうはいないだろうと、
この演奏を聴いて思いました。

またもうひとつ特筆すべき点として、
何曲かライヴ録音が収録されていると言う事です。
東京音楽隊の音源は数多く出ていますが、
大半はセッションで、
ライヴ録音となると10年前に同じユニバーサルが出したシンフォニック・ブラスシリーズ位です。

セッションと違い、
やり直しがきかないライヴ音源は、
セッションでは聴けない燃焼度の高い充実した内容になっており、
是非とも他のライヴ音源も聴いて見たいなと思いました。
吹奏楽のCDは録音のせいで色々と駄目になっている物も多いのですが、
このCDは音質は勿論、
非常に丁寧に録音されており、
迫力のあるサウンドになっています。

吹奏楽ファン、
行進曲ファンはもちろん音楽好きの人にはぜひ聴いてもらいたい一枚です。