理論と実践の調和の取れた良書（救急救命の本ではありません）　

獣医学書は、
臨床的記述を主としたものと、
その裏付けたる理論を中心に書かれたものの二つに大別される。
前者はベッドサイドで、
その疾患の大まかな知識や治療方針なり薬用量なりを迅速に検索出来ると重宝される。
しかし、
何故こうなるのか？というやや基礎的な即ち神経機能解剖学や神経生理学的考察が手薄になるため、
非典型例へ応用することが困難となる。
そして、
後者に関しては、
その逆のことが言える。
本書はその点のバランスが非常に良い。
また、
獣医神経病として欠かせない情報であるMR画像も適所で使用されており、
かつフルカラーであるため画像のクオリティーも良い。
各論においては、
内容がとてもよく整理されており、
これまであいまいであった部分がスキッと理解できた項も少なくなかった。
また、
著書名にあるように、
頭部外傷や脊髄損傷、
発作重積や急性の四肢麻痺など、
ベッドサイドにいて緊急性と正確さが要求される疾患についての記述は他書に比べ手厚い。
また、
緊急症例の入院中の看護についても比較的良く書かれており参考になった。
緊急疾患近頃はこの本ばかり愛読しているが、
難点として医学書全般に言えることだが、
厚く、
重い。