八代亜紀が昭和のヒット曲をカヴァーしています

どの曲も仔細に聴けば、
物凄い表現力に満ちていました。
ハスキー・ヴォイスの声質の魅力に隠れていますが、
歌の巧さが半端ではありません。


例えば10曲目の「恋人よ」もそうですが、
ダイナミツク・レンジの広さに感心しました。
切々と訴えかけるような悲しげな表情は絶品です。

「かもめはかもめ」もいいですね。
研ナオコの絶妙な表現をベスト歌唱だと思っていますが、
八代亜紀の寂しげな声質が雰囲気を盛り上げています。
演歌の節回しではない歌い方が「日本のポップスを唄う」のタイトル通りのイメージを表していました。

布施明のオリジナル曲「霧の摩周湖」の2分あたりの絶唱は聴き物です。
これだけの表現力を持っていたわけですから、
日本の歌謡界に八代亜紀が君臨したのも頷けます。


なお、
収録年代が不明です。
本アルバムは、
「テイチク80周年(2014年時)記念企画」ということですから、
八代亜紀がテイチクに所属していた時代の収録した曲たちからのアルバムが音源だと推察されます。
曲によって録音の質が変化するのは、
違うアルバムから集めてきたという経緯があるせいでしょうか。
よく分かりません。


八代亜紀がテイチクエンタテインメントのテイチクレコードに所属していたのは、
デビューした1971年から1981年までです。
当然、
この年代の収録というのは想像されます。
それなら、
これらの収録曲の顔触れが一定の幅に収まっているのが理解できると思います。
ちなみに、
八代亜紀が21歳から31歳の頃の歌唱ということになるのです。

結構古い音源だとみなすのか、
彼女がヒット曲を連続して出していた時代だと捉えるかで印象は変わってきます。


なお、
参考までに1982年から1985年は、
センチュリーレコードに所属し、
1986年以降は現在までコロムビアミュージックエンタテインメントに所属しているという経歴でした。