認知症が脳の機能障害であることを解説してくれる

人間の脳が持つ機能の内、
社会脳の機能について解説し、
その障害が様々な認知症の症状として現れることを教えてくれる。

すなわち、
本書の内容は、
読み進んで７割ほどのところで、
「認知症の人のさまざまな『奇行』を科学的に説明できるようになった」（P169）とあるとおり。
もちろん幻覚、
徘徊など未解明の部分が残っているが、
家族を始め患者を受け入れる側にとっては、
認知症理解に重要なことだと思う。

２０２５年には６５歳以上の５人に１人は認知症との推計が、
先月に厚生労働省から出された。
この推計を信じて良いのか判断しかねるが、
本書の最後では軽度認知障害や予防についても語られるので、
患者が身近にいない読者にも,自分自身のために有益と思われる。


ただし、
本書は相当に読みにくい。

丹念に図示されるものの本書の前半では解剖学的な部位を示す言葉が頻出し悩まされる。
専門用語や知見を解説なしで使うこともある。
まずは詳細にこだわらず読み飛ばせば良いと思われるし、
これだけの内容を２３０ページほどに収めたのは良いことだと考えるので、
評価は満点とします。

なお、
ジャーナリストが書いたものだが、
認知症の医療現場の一端が「認知症の『真実』」で語られるので参考に。