暦の話が、詳しすぎて長すぎる

第1部の暦の修正の話は、
細かすぎて読むのが辛かった。
空を見る視線が「内」から「外」に変わった、
それによって「天下」という概念が出てくる、
という話などはとてもおもしろいのだが、
各王朝の史書が、
年号や年代をどのように誤解したか、
あるいは積極的に改竄したかという話と、
それをどのようにして修正するかという話は、
このような一般書で詳細に書くべき内容ではなかろう。


第2部は、
政治史がほとんどだが、
記述は読みやすく、
現在の史跡を著者が訪問した際の状況なども活き活きと書かれていて、
おもしろい。
第2部の執筆者が全部書いた方が良かったのではないか。


それから、
やはり本文中の地図や写真は、
もともとカラー版だったのモノクロになっているのだが、
かなり見にくい……。
写真も、
口絵にカラーで載っているものは、
本文登場箇所で明記しておいてほしいものだ。
また、
他巻にはある文庫版のあとがきや補遺が、
全然ない！　初版出版からの十数年の変遷などが書かれていて、
あれだけが文庫版の取り柄だと言っても言いぐらいなのに、
それがない。
がっかりだ。