かなり専門的だが、わかりやすい

岡田氏の本は、
以前『愛着』のシリーズを読んで、
面白かったです。
本書は、
インターネット依存、
なかでもネットゲーム依存について、
依存症のメカニズムから、
脳機能や発達に与える影響などが、
多くの研究を紹介しながら、
具体例をまじえて説明されています。
かなり専門的な内容ですが、
わかりやすく、
いろいろと発見がありました。
依存症というものの仕組みと恐ろしさがよくわかります。
特に、
報酬系が壊れて、
「結果のフィードバック」がかからなくなるとか、
処理速度が低下するという点に興味をひかれましたた。
岡田氏が重視するのは、
脳内のメカニズムだけでなく、
心理社会的背景です。
依存は、
適応障害とセットになっていて、
その根底にあるのは、
居場所のなさや生きづらさのようです。
「負け組の麻薬」となってしまうという状況は、
とてもやるせないです。

後半は、
依存症の予防と克服について、
かなり詳細に述べられています。
岡田氏が特に重視するのは、
依存が不安定な愛着と結びついており、
その点を改善することが、
克服の糸口になるという点です。
家族がかかわり方を変え、
安心感を取り戻すことで、
依存が落ち着いていくという点に、
希望を感じました。
ネット依存だけでなく、
ほかの問題にも通じるアプローチに思えました。