矛盾、そして矛盾

この本は矛盾している。
そしてそれが全てだ。

私はこう思うから、
こうだ。

という持論を片っ端から展開する事から始まる。

途中まではそういう考えもあるなと頷ける部分もあるにはあったが。

しかし問題はその持論を展開する、
根拠や背景の説明が無いか、

もしくはずれているかのどちらかでしかないという事。


世間的にずれていようが、
社会的倫理に反する内容だろうが
一部には受け入れられる。
あるいは反面教師とするだけでも
本としての価値は一応にある。

この類の本はその持論を持つだけの
根拠と一貫性が語られなくてはならない。


せっかく、
そういう意見もあると読み進めても
それを真っ向から否定する、

矛盾するような文を後に乗せていて、

読み終わった後に結局何が言いたかったのか
わからなくなってしまうのである。


持論を展開する際に、

個人の意見の範疇から抜けだせずにいて、

至る所に反論を許してしまう隙間がある。

まだ「一流の男、
二流の男」
の方が内容はさておいても
一貫性は今よりはあったのではないか。


根拠の無い事を
断定的な文で乗せているというのは、

ある意味で新鮮ではある。

その新鮮さが売れている原因ではないのか。

根拠とか背景などはスパッと切り捨てて、

そうだからそうだ。
と論じるのは
個人の信条や、
ブログのレベルでは問題ない。

しかし少数でもこの本によって、

誰かの生き方に影響を与えているという
ことを筆者はわかっているはずだ。

であるならば、
もう少し読み物としてふさわしいものに
仕上げるのが一流のやるべきことではないのか。


それからあとひとつ。

男女観を自己啓発の本で語らないで頂きたい。

男女平等観が染み付いている十代の人間にとったら、

悪い意味で言い切り型の里中氏の本は新鮮に映ってしまう。

独りよがりと一流とは違う。