天才的催眠療法家の本質にユニークに迫る

風変わりな天才だった著者の催眠療法のお師匠さんとのエピソードをエッセイ風に語ることで、
意識と無意識の働きを解説しています。


そしてお師匠さんの師である20世紀最高の天才的催眠療法家ミルトン・エリクソンの本質を、
間接的にですが、
とてもユニークな筆致で迫っていると読むこともできると思いました。
（エリクソンの話は極わずかしか出てきませんので誤解なきよう）

この本は、
本全体が一種の催眠スクリプトになっていて、
知性に妨害させない解説を狙っているのかも知れません。

読んでいると、
顕在意識では、
「回りくどい」、
「何が言いたいのかよく分からない」、
「貧弱なテクニックしか出てこない」など様々な批判が湧いてきます。

著者の意見に「それは違う！」と思いながら、
本の余白にたくさんメモを書き、
後から後から自分自身の気づきが湧いてきました。

そして、
読み終わると、
「理由はわからないが何かスッキリした」というフィーリングになりました。

まるで、
クライアントの「抵抗」を逆手に取って治療につなげたエリクソンの手法を疑似体験しているかのようです。


同業者や世間の批判を怖れずに、
自由に本当のことを書く無敵な著者にエールを送りたいと思います。

好みは分かれると思いますが、
とてもユニークな本であることは間違いありません。