天心の気概が感じられる本です

　「西洋社会は、
日本が平和でおだやかな生き方を満喫している時代は、
我が国を野蛮とみなしていたのです。
ところが満州の戦場で大規模な殺戮を始めると、
日本を“文明化された”と呼ぶようになっています」。

　この一文で、
岡倉天心が、
どんなにそれを苦々しく思っていたかを窺い知ることができます。

　天心は、
「日本は、
独自の素晴らしい文化を持っていること」を西洋社会に知らしめるため、
この「茶の本」を英語で書いたのでしょう。
その気概に敬意を払わずにはいられません。

　この本は、
お茶のみならず、
日本文化の奥深さ、
魅力について書かれたものといえるのではないでしょうか。

　「茶の本」は７章から構成されています。


　第１章　茶碗に込めた人間力
　第２章　茶の流派
　第３章　道教と禅
　第４章　茶室
　第５章　芸術の鑑賞
　第６章　花
　第７章　茶人たち

　茶道を学び始めた頃、
先生からこの本を紹介されたもののの、
放置すること２０数年……本当に不肖の弟子です。

　ようやく紐解き、
二度繰り返し読みましたが、
咀嚼できたとは口が裂けても言えず、
少し時間を置き再読してみようと思います。

　今回、
心に響いた文は、

　茶道は本質的に「不完全なもの」を崇拝します。
それは私たちが、
「完成されないもの」と自覚しているこの人生において、
それでも「実現可能な何かを成し遂げよう」と儚い試みを続ける存在だからなのです。

　私も、
もっと真剣に足掻いてみることにいたしましょう。