おおかみは赤ずきんの顔をして近寄ってくる

ほんのちいさなきっかけで、
事態は悪化し泥沼化する。
クラブ活動での悩みや、
運動で痛めたことを訴えたところ最初は小児科、
いつの間にか、
精神科に回され、
「早期発見でよかったです。
早く治療しましょう・・・いいくすりもありますから。
」著書で取り上げられた事例である。
早く治療することで、
悪くなることを防げますよと、
言われてノーと言える親御さんがどれだけいるのだろうか。
がんの早期発見が重要だといった医療の常識を振りかざされて、
抵抗することなど不可能である。
医師は、
早期介入・早期治療のドグマにとらわれて、
功名心もあって精神医療ーその内実は入院と薬漬けを強要する。
一方の立役者、
早期介入でマーケットが広がり、
しかも日本独特の多剤投与でさらに薬の売り上げが増える製薬会社、
痛みはうつです、
心の風邪ですといったTVCMを受け入れるメディア、
一大医療産業の前に、
個人ができることは、
いい医師を探すこともさりながら、
自ら学び考えること。
それしか、
自らを守り、
家族を守り、
ひいては同じような被害者を守る方法はないと思わされる。
著者の粘り強いフィールドワークと努力に敬意を表したい。
願わくば、
唯我自尊に陥っている精神科医にも読んでいただきたい本である。