ノーベル賞と伊藤博文

月刊文藝春秋とはまた違った味わいのある一冊。
面白く読みました。


「2009年の物理学賞では、
上海生まれで香港在住のチャールズ・カオ博士が「光通信を目的としたファイバー内光伝達に関する画期的な業績」を理由に受賞した。
この分野でノーベル賞が出れば西澤潤一・元東北大総長は「当選確実」と言われていたが、
それが漏れたのである。
このとき受賞した他の2人の受賞者は、
別の分野の「撮像半導体回路であるCCDセンサーの発明」を理由に授与されている。
3人の枠はこうして埋まり西澤博士は押し出されたのである」（36頁）。

「伊藤について、
触れておかなければならないことがある。
「女好き」だ。
その病的ともいえる好色ぶりは、
首相になってからも変わることはなかった。
大磯の自邸に芸者を呼び、
夜の相手をさせる。
芸者たちは伊藤の寝間の横の部屋に控えていて、
鈴が一つ鳴ると、
一人目が入っていく。
しばらくして、
また鈴が一つ鳴ると、
二人目と交代する。
時に二つ鳴らすときがあって、
そのときは二人一緒に入る」（123頁）。


他に、
「ニッポン株式会社ソニーの崩壊」も興味深く読んだ評論でした（88~95頁）。